忙しい現代の生活に、茶の湯の文化をとり入れ、せめていっときでも、詫び、幽玄の世界を楽しむことはできないかと、長年考えておりました。茶道裏千家のご協力を得て、本格的な茶室「待光庵」を設けることができ、本場京都の懐石料理を味わえる「京懐石りほう」を開き、27年が経ちました。
ひとつのビルの中に、茶席の濃密な精神を感得するのが「待光庵」だとしたら、少し肩の力を抜いて一碗の茶を味わうのが「芳月」、人生のゆとりを楽しんで頂けるのが「りほう」でしょうか。「京懐石りほう」が、人と人が交わり、心に何の隔てもなく味わい、語り合える場になりましたら、これ以上の喜びはありません。今後ともよろしくお願い申し上げます。
席主 渋谷芳子